西宮 不動産を独学で
「事務・管理」「営業・販売サービス」「技術・研究開発」「生産現場ないし技能職」「その他」の5つにわけて「能力主義管理」導入の影響を調査している。
「仕事のやる気」については「増えた」が「減った」をいずれの職種でも上回っている。
例えば「事務・管理」は「増えた」39・21%、「減った」18・9%となっている。
「職場の活性化」への影響については微妙な答で、「事務・管理」「営業・販売・サービス」は「増えた」と「減った」が同率である。
「技術・研究開発」は「減った」が34・1%で「増えた」(22・0%)より多い。
「生産現場ないし技能職」では「増えた」が上回る。
「会社への愛着」については「仕事のやる気」とは全く逆の結果になっている。
「その他」を除くすべての職種で、「能力主義管理」によって「愛着」は「減った」という答が「増えた」を上回っているのだ。
「営業・販売・サービス」は「増えた」22・7%に対して「減った」が33・5%だ。
「技術・研究開発」も「増えた」9・8%、「減った」29・4%である。
「生産現場ないし技能職」も「減った」(23・2%)が「増えた」(13・5%)を超えている。
能力主義を原則にすれば、契約意識が強まって、やはり会社への帰属意議は薄れるのだろう。
この通り、忠誠心などをあてにしても空振りになる。
権威や権限などで部下を動かそうとしても、効き目がなくなるのだ。
今までも本当はそうなのだが、これからはいよいよ持って、単なる業務命令ではマネジメントは不可能な時代がやってくる。
経営者、管理職は、現場の実態や技術をよく知り、的確に仕事を指示できる説得力のある手腕を求められる。
さらに言えば、プロフェッショナルの気持ちを共有していなければ、専門家集団を引っ張れない。
では棟梁型リーダーはどのように養成するのか。
組織もメンバーの意識もフラットで、互いにそれぞれのプロフェッションを尊ぶ知的で多様な企業風土が苗床になる。
遠回りのようだが、そうした新しい風土を作れれば、次代の担い手は自ずと生まれてくるだろう。
将来の職場の風景はどのように変わって行くだろうか。
理想を言えば、「仕事原理」で貫かれた開放的な空気に満たされた職場になるのではないか。
日本的経営を戯画化して朝礼や運動会、社員旅行などの集団主義を連想させる場面を特筆する向きもあるが、それらは仕事原理に照らせば、どうでもいい爽雑物である。
しかし日本人自身が日本的経営礼賛論に乗って勘違いをした面があった。
例えば、バブルに浮かれて豪華な社員寮を建設することが、あたかも人を大事にすることであるかのように錯覚する企業もあった。
そうした退廃のツケが今、中高年者へのしわ寄せとなって現れている。
労働評論家のS氏は93年5月15日付けY新聞にこう書いている。
「終身雇用とは労使相互が努力して変化に対応し、役立つ人をつくった結果であって、自己の運命を会社に託した緊張感(安心でない)が会社を伸ばした」。
緊張感が消えて袋小路に迷い込んだかのような状況が現在である。
「中高年ホワイトカラーが過剰、とするのは労使双方が時代とともに変化すべきなのに失敗した、適応できなかったという表明である」とS氏は指摘している。
立ち直るために必要なのは、ラジオ体操などで規律を取り戻すといった表面的なことでは全くない。
仕事を疎外している余計なものをどんどん捨てることが大切なのではないか。
工場長が工員と同じ制服を着て、同じ食堂で昼食をとり、現場をよく歩くといった点などは、仕事を中心に考えた場合、合理的である。
しかし職場を活性化させるためと称して、TQC(全社的品質管理)のために余計な残業を繰り返すようなところは、本末転倒である。
もう一度、サビを落として仕事原理を機能させるべきだろう。
それはノルマを課して尻を叩くような仕事のやり方ではない。
ある情報産業の大手企業の部長が「会社が新しい価値を生むように改革するには、使う言葉から変えないと駄目ですね」と言っている。
「15年くらい前までは、『今、どんな仕事をしているんだ迄『また新しいことをやってお客さんを驚かしているのか』といった会話が社内を飛び交っていたものですが、それが段々『売り上げを何パーセント伸ばした』『目標は達成できたか』と、数字の話ばかりになってから、狂ってきた」と振り返る。
『H』に権力の外にある世界「S」という評論が収められている。
関東大震災後、工事用の砂があちこちに積み上げられ、それを利用して子供たちが砂山を作り、頂上からボールを転がして遊ぶのが流行った頃の話である。
砂山にくねくねと道をつけ、トンネルや橋などを途中に設ける子供らの大工事を面白く観察している。
子供たちの中から一人2人の子が自然に、頭に浮かぶプランに従って工事を先導していく。
残る子供らは自然にその工事に「協同」する。
「工事の進行が、指導者の意図によっているのも、それは指導者の意思が、全的に協同者の意思を圧迫してその意思でその生活をヘシ曲げようとしているのでもない何でもない。
指導者がその工事に対して持っている特殊の能力が、その工事に作用しているに過ぎない」と書いている。
「そのうち私は、いつのまにか指導者が代わっていることを発見した。
無論新たな指導者に対する協同者の態度は前の者に対すると少しの変わりもなかった。
それは即ち、前の指導者であったものが今度は協同者として忠実に行動していることを意味するのであった」。
如是閑の書く「工事の全体の有機関係に従ってすべての人間が機能的にそれぞれその地位を定められているのであった」というのは子供の世界のことだが、それは理想的な仕事原理に基づく人事の要諦でもある。
そこには、年功序列も学校の成績も、ましてや親の職業なども全く関係ない。
砂山のコース作りについて豊かな着想を持った子供が誰に選ばれるでもなく、進んで先導役を務めるだけのことである。
完成すれば、みんなでわきあいあいと遊びに興じる。
従来、日本企業の模範として取り上げられてきた企業は、T自動車、H製作所、M電器産業、N証券、S銀行、Sなど、「強い企業」と言われたところだった。
モノカルチャー(単一企業文化)体質で、異分子の存在を許さないような強烈な求心力があった。
企業は一種の運命共同体として身内を大切にする。
従業員の帰属意識は強く、それが強烈な活力を生み出してT自動車は最近でこそ、国内でも九州や北海道に工場を分散するようになったが、ついこの間までは愛知県豊田市の本社を中心とした一帯に、グループ企業、下請けを含めて一族郎党が群居していた。
完全な企業城下町で、「自分の城は自分で守れ」という姿勢で黙々と競争力を磨いてきHも巨大なグループが小宇宙を形成していて、「よきH人であれ」というモラルがある。
その一端は、予算に対する責任追及の厳しさに表れている。
「予算未達は最大の罪悪」という考え方が、硬直した体質の根っこにある。
またグループ各社はH系各社との業績競争に意欲を燃やし、それがバネになって各業界でかなりの地位を占めている。
S銀行は抜きんでた収益第一主義が、I事件などの一連の不祥事の背景にあると批判されている。
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